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デザインとか幸福論とか

ロゴデザインの役割

ロゴデザインはなぜ必要なのか?

 
・信頼を構築するため
ロゴは企業や商品の顔と言える。ロゴは企業と消費者のタッチポイントであり、コミュニケーションツールとして機能する。商品の特徴、ターゲット、ビジョンやミッションといった想いをビジュアル化したロゴは、長期的に統一感を持って運用していくことで、消費者と企業の間に信頼という名の架け橋となる。
消費者は物を買う時に、「値段」「評判」「原材料」「安全性」「保証」あらゆる判断基準で品定めをするが、突き詰めると『信用できるものであるかを量るため』の行為である。 商品に対して信用が生まれると、人は「欲しい」と感じる。そこで、信頼を得るためにデザインが貢献できることと言えば、早い話ブランド感の創出である。やはり顔のない商品からは信頼は生まれない。
また、的確にターゲッティングされたロゴは、こちらから望む消費者に「あなたがお客様ですよ」と呼びかけ、自分の価値観や理想に近しいビジュアルは安心感を与えると同時に信頼の獲得に繋がり、最終的には購入の動機になる。
 
・認知に貢献するため
情報過多の時代において、消費者は一目みて自分にとって価値があるかどうかを判断する。「全世界に現存するデータの90パーセントはこの2年で生成された。」※1というデータがある。
人々は情報に触れた時、コンテンツの中身では判断せずビジュアル要素で仕分けを行う。これは情報に限った話ではなく、消費者は商品を選ぶ時は往々にして商品の実質的な価値よりも知覚価値を優先する。
つまり、潜在意識レベルで第一印象をパーミッションして貰えなければ、どんなに魅力的なコンテンツであっても消費者には届くことはない。第一印象をパーミッションさせるには、ビジュアル全体が適切な必要があるため、ロゴが全てではないが、ロゴが占めるウェイトは大きい。
また、長期的にロゴを繰り返し目にすることで、見れば見るほど親しみを感じていき、商品やサービスの品質と共に強い記憶の定着がおこり、リピートに繋がっていく。
消費者が目にしそうなあらゆる場所にロゴを配置することで視覚的な接点を増やし、その企業に対して統一されたイメージを抱くようにすることが重要である。もちろんほとんどのロゴは、消費者の興味・意識を引きつけることなくその視線上を素通りしていく。しかしだからといってロゴなんて意味がないと断定することはできない。なぜならば無自覚・無意識というのは、同時に無防備でもあり、潜在意識にイメージを刷り込むことができる。視覚効果の狙いはまさにここにある。
目を閉じてマクドナルドのことを思い出してみると、まぶたの裏に浮かぶのはハンバーガーやポテトではなく1本の金色のアーチだろう。AppleではiPhoneではなくりんごだし、amazonであればロゴマークが印刷された段ボールが思い出される。
 
ブランディングに必要不可欠なため
前述の「信頼を構築する」「認知に貢献する」の最終的な着地点がブランド化である。
ブランディングが何故重要かと言う問いは、ここでは掘り下げないが、価格競争に巻き込まれなくなる点や、広告費・顧客獲得コストの削減など、経営に大きなメリットを持たらす。
 
・経営者やスタッフのモチベーションを高めるため
ロゴを制作してから自社ロゴを最も多く目にするのはユーザーではなく会社の人間である。
重要な決定を求められる場面では、ビジョンやミッションをビジュアル化したロゴは指針となり、決断の手助けをする。社員にとっては帰属意識を高め生産性の向上に繋がる。また、採用難な現代で企業の方向性をしっかりとビジュアル化したロゴは就活者に安心感を持たらしてくれる。
 
・デザインの方向性を定める指針になるため
ブランド化のために、企業はロゴだけでなく、名刺や封筒、webサイト等の広報物に関わらず内装のデザインまで、あらゆる面で統一された企業のアイデンティティを示さなければならない。
ロゴをデザインする段階でビジョンや表現したい世界観を言語化しておけば、その後の意思決定が容易になり時間的・金銭的なコストが削減できる。
目的やビションがはっきりしているオーダーは、デザイナーにとって良いアウトプットを持たらす原動力となるので良い成果物が生まれやすい。デザイナーが優れているかどうかという問題ではなく、方向性がブレているオーダーからは良いアウトプットは生まれないのである。
 
上記がロゴデザインの主な役割だと私が感じている点である。
ロゴデザインは、効果や成果が直接分かり易い形で現れないので「何となく必要だろう。」という解像度が粗いまま語られることが多いのでこの機会に言語化してみた。